第一夜

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枢は言葉を途中で止めた。 一条はそれを疑問に思い、枢にどうしたの?と聞いた。 「零の血を飲みそうな人いたよ」 「え!?」 「豊穣院氷儷。今日転入してきた純血種さ。義妹も普通科に転入したらしい。彼女…、氷儷は人間くさくて、そしてもうずっと血を飲んでないらしいから飢えている…」 「…そんなときに錐生くんの目の前に現れたら…―」 「…飲むだろうね」 思い出す、この感覚。 あのときと同じ、緋桜閑の牙が自分に穿たれたときと。 氷儷は零の首筋から牙を抜くと、口元についた血を舐めた。 「他の純血種によってヴァンパイアにされて、そしてそのヴァンパイアが死に主を失っても、また新たな純血種が牙を穿つとその純血種と元人間のヴァンパイアの間には切れない絆が生まれるのよ」 「…っ…なにが、望みだ。」 「望みなんてないわ。ただ、私は貴方との血の絆が欲しかっただけ」 氷儷は零の上から退くと、口元を拭い歩きだした。 「…じゃあね零。何かあるなら私の部屋を訪ねー」 一瞬の出来事。 零が、歩きだした氷儷に近寄ったと思うと後ろから首筋に牙を穿った。 氷儷もそれには予想外だったらしく少し驚いた顔をしていたが、すぐ微笑を浮かべた。 血を啜る音だけが聞こえる。 血が無くなるんじゃないかと思うぐらい氷儷の血を貪る。 そして、そのあとにくるのは純血の血との戦い。 純血の血は普通のヴァンパイアにとっても毒であり、身体が反発しあう。
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