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「僕…会社をやめようと思ってるんです。」
新人君の突然の告白に美里は唖然とした。
「え?いつ?」
美里は驚きながらも、質問をする。
「9月には辞めようと、でも社長に言ったら…社長が辞める日にちを決めるらしいので…今連絡待ちです!」
…え?辞めるの…君だよね?社長…日にち!?
「…(笑)そうなんだ」
この…新人君に振り回されて一年!今だにこんな会話がなされる今日この頃…
クビぢゃない限り連絡はこねぇよ!
と言いたい気持ちを我慢して、パソコンに目を向けた。
「あ!そこの換気扇洗っておきました!」
突然話題が変わった事に驚きながらも、
「あ…ありがとう。」
と答えた。
業者さんに頼まれて事務所に持ち帰った換気扇。明日別の業者に渡す約束をしていたので助かった。と思いもう一度パソコンに目を向けた。
「あのぅ…僕何したら?」
…はい!?
一年もこの事務所で働いておきながら…ニコニコと指示を待つ新人君に少し苛々しながら…
「今日安全パトロールの日だよね?準備しといて!」
と指示を出し、自分の仕事に戻った。
私の名前は木ノ下 美里(キノシタミサト)26歳
この会社に入って三年がたとうとしていた。
不況の煽りを受けて、入社して二年目で、もう教育係を任され、一年目では、現場監督までさせられた…
不況って…怖い…
「木ノ下さぁん!準備万端です!」
ドカッ!
え!?今私仕事してたよね…机使ってるよね!?
目の前に堂々と置かれた鞄を見て、ため息をついた。
「邪魔!ここに置いたら邪魔でしょ…?邪魔じゃないところに置いといて。」
私は少し呆れながら言った。
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