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扉が開くことはない。 そう判断して、俺は他の煉瓦を取り除く事を始めた。 奥の方までナイフを差し込み、後ろから押すようにして、煉瓦を外していく。 煉瓦が床に落ちるたびに、埃が舞い上がる。 その作業をどれくらいしただろうか。 遂に煉瓦はすべて退かされて、金属性の扉が、その姿を露にした。 足元に転がる煉瓦に気を付けながら、扉に近寄る。 扉にはうっすらと水滴が付いている。 ん?水滴? 触ると扉は異様に冷たかった。 いや、扉だけじゃない。 足がひんやりとする。 床さえ冷たかった。
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