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俺は口元を、湿らせた手拭いで覆い、松明を一本持って、階段を下りた。
階段は酷く埃っぽく、歩くたびに埃が舞い上がり、足跡が付くほど積もっていた。
長らく人が入ることはなかったようだ(禁じられているので当然といえば当然だが)。
降りていくと、すぐに入り口から入る光は途絶えた。
灯りは松明だけだ(壁には燭台すらない)。
肩幅より、少し広いぐらいの窮屈な階段を、脚を滑らせないよう、身長に歩く。
埃がクッションの代わりになっているのか、足音すら響かない。
完全なる無音。
ゆっくりと闇の中を歩く様は、まるで、地獄に向かっているよう。
歩けど歩けど終わりがない。
どこかに意識が持っていかれそうになる。
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