希望なき誘い

3/4
前へ
/53ページ
次へ
「ふりせむし」は昔、盲人競技を遠くから見た事があったらしい。  大勢の観客に囲まれて、殆んど見えなかったらしいが、競技が終わった後の盲人達は、皆血まみれで、歩く事も出来ない有様だったと言う。 「ふりせむし」は自分が選んだ芝居が、盲人でなかった事を心底幸せに思っていた。  奴と違って俺は正真正銘の盲人だから、選択の余地は全く無かった。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加