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変容
俺が失明したのは三年程前だ。
それからと言うもの、世界は一変した。
暗闇は常に俺を包み込み、わけの分らないものによくぶち当たるようになった。
壁がある、と感じた。
俺と世界との間に、触れられぬ、しかし決して超えられぬ、高く分厚い壁があると感じられた。
多分世界は何一つ変わっちゃいないのだろう。
分かっている、変わったのは俺だけだ。
音も光も触覚も、味も匂いも、時間の流れさえも変わってしまった。
俺の体の内側に、俺は永遠に閉じこめられた。
俺の体の外側で、世界は俺を拒絶した。
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