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「彩名のとこに送られてきたメールの内容らしいんだけど、それ以外書いてなくて意味が分からないんだよ。確かめようにも携帯は繋がらないし、メールしても返ってこないし。で、前に彩名に見せてもらったことがあった君の顔を思い出して、こうして探してたってわけ。……どう?なんのことか分かる?まさか本当に殺人犯だったりしないよね?」
「そんなわけないでしょ!!」
真剣に言っているのかふざけているのか判断のしづらい真顔で半笑いの問いかけに、思わず声を荒げてしまう。
そして、気づく。
(もしかして綾橋はこのメールを信じて、それで私を避けてる?でも、それならあんなメールを私に送ってきたのはなぜ?それに、内容が内容だけにそんな簡単に信じられるようなことじゃないはず…。それとも何か、信用に値する誰かからのメールだった?)
「そっかぁ…そうだよなぁ。ごめんな、いきなり変なこと聞いて。後でもう一回電話かメールしてみるわ。」
軽く頭を下げ、立ち去ろうとする坂上を『待って』と呼び止める。
もしも(そんなことはないと信じたいけど)本当に綾橋に避けられてるなら、いくら新堂からメールや電話をしてもきっと彼女は応答してくれない。
だったら。と、新堂は口を開く、それが最善の選択であると信じて。
「もし綾橋と連絡がとれたら、私にも教えてくれませんか?」
仲介役がいれば、坂上が間に入ってくれさえすれば、また違った結果になるんじゃないか…と。
そして、新堂はもう一度その名を問う。
坂上は答える、目を細め、微かな笑みを口端に浮かべ……。
「坂上 キリエ。よろしく、新堂 つむぎさん。」
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