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「天狗?なにそれ、バカみたい。綾橋ってオカルト大好きっ子だったっけ?」
「そうじゃないけどさぁ。人間の犯罪者がいるよりはちょっとだけ安心できない?リアル人間より非リアル妖怪だよ。」
あくまでも明るく笑顔を浮かべて熱弁する綾橋に、新堂は軽い苛立ちを感じ始めていた。
現実は、おまえが思っているほど易しくも優しくもないのだ。そう、言ってやりたかった。
しかし、それは無意味であり無価値な蛇足的行為だと言うことも知っている。だから。
「そうかもね。」
肯定のオブラートで包んだ侮蔑の皮肉を、機械的に吐き出した。
「天狗なら気楽よね。」
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