1287人が本棚に入れています
本棚に追加
/484ページ
「神に対して何と無礼な!ごめんなさい、あなた!私の教育が至らなかったばかりに、あなたに迷惑をかけてしまったわ。天罰なら私が受けます。だから、真和をお許しください」
膝を着き、手を組んだ修道女は、静かに目を閉じると胸の前で十字を切った。
「いやいや、マリア。いいんだよ。私も息子の成長が嬉しくて。つい、調子に乗ってしまったんだ。真和がこんなにも素直に感情を表してくれて、むしろ喜ばしいんだよ。君の育て方に間違いはなかったと、私は今、確信していたところだ」
祈るマリアの手を取ると、神様はにこやかに微笑んだ。
「お帰り、マリア」
「ただいま、あなた」
見つめあっていた二人は、ひしと抱き締め合った。
うわー、ツッコミが多すぎて、どこから手をつければいいか分かんねー。
「はぁ。とりあえず……あっちはほっとくとして、サタン、説明を頼めるか?」
「はぁー///私もあのような、久遠の愛を真和様と結びたいです…」
横を見るとサタンは目を輝かせ頬を染めて、不吉なことを呟いていた。
なんかもう……ダメダメだ……。
「はぁ。この際、誰でもいい、誰か説明してくれないか…?」
頭を抱え、ため息を吐くと、"くいくい"と袖を引かれる
「お兄ちゃん♪」
「桃!?桃なのか!?」
思いっきり抱き締めて、頬すり、もう会えないと思っていたので、感激もひとしおだった!
「きゃふ!?くすぐったいよ!」
「うお―!ごめんよ―!桃―!勝手に死んだお兄ちゃんを、許してくれえぇ―!」
「仕方ないよ。天命だもん。兄さんが死ぬ日は、あの日って決まってたんだよ」
「そう。天命には何人たりとも
、逆らえないんだよー。残念だけど」
「百合?楓?お前らまで…」
声の方に振り向くと、制服を着た妹たちが立っていた
「ていうか、待て!なんで皆が、ここに居るんだ!?ここは、あの世だろ?生者のお前らがなんでここに…」
まさか…死んだのか!?後追いで一家心中!?
「はぁ。なわけないでしょ、真和。自殺なんてしていたら。ここにいるはずないじゃない」
「ふむ。自ら命を絶つ、他人の命を奪う。これは、大罪だ。地獄に堕ちて、厳しい研修を行って貰わねばならない」
「じゃあ、なんで……ま、まさか!!!俺は死人と飯を食ってたのか!?」
ゾンビとの生活を想像して身震いした。
「「「なわけないでしょ」」」
「分かってるよ」
やっぱり、家族は変わらなかった。
最初のコメントを投稿しよう!