魔王と神様

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「で?実のところどういうこと?」 「まぁ、立ち話もなんだからね。皆も座りなさい」 椅子に座りゆっくりと、周りを見渡す。対面には自称父親の神様が座り、その右にはマリアが座った。 俺の隣にはサタンが腰を下ろす。 しかし、妹たちはなぜか、断固として座ろうとはしなかった。 「さて、私は君の疑問の答えを知っている。しかし、すべてを語るには、残念ながら君は何も知らなさすぎる。だから順を追って説明していこう。それでいいかい?」 「ああ。最後にすべてを理解して、納得できればそれでいい」 俺はまっすぐに神を見つめ、静かに頷いた。 「ふふ…いい目をしているね。なにを聞こうとも受け入れてみせようという決意が見て取れる。本当に成長したね、真和。今の君になら、話しても大丈夫だろう。マリア、サタンもいいかな?」 「「はい」」 俺の顔を見た二人は小さく微笑んだ。 「君の出生から話そう。君はここ、HEAVEN CITYで生まれた。父は私。母はマリアだ。兄にイエスがいるが、今はブッダと世界旅行に行っててね…ほら、これが写真」 と手渡された写真には、メイドさんを中心に写っている。外人とパンチパーマの男性。みんな素敵な笑顔だった。 「イエス……ブッダ……君たちゃ、何してるんだ…」 「わぁ!イエス様、秋葉原にいったんですね!いいな~!いいな~!私も新作のメイド服を探しに行きたかったのにー!」 隣でサタンが意味の分からないことを喚きながらムクれ始める。 「ははは!サタンも今度、真和と一緒に行くと良い。新婚旅行は別に天界でなくてもいいんだからね」 「おい、親父。新婚旅行って何だ……俺は婚約なんてした覚えはないぞ」 「真和様………」 明らかにしょんぼりとサタンは俯いてしまった。 「真和…これを見たまえ」 「えっ?なに?」 神さんは再び、写真を取り出すと。俺に見せつけてきた。 「真和とサタンの誓いのキスだ」 「ブッ!」 この世界に来て初めてのハプニング。 あの時の写真だった。 「見てたのか!?」 「私は神だ。この世界で見えない。場所などありはしない!こっちに来て早々、可愛い天使の唇を奪い去るとは全く!盛った息子で困る」 「全然、見えてない!見えてないよ!奪われたの俺!俺のほうだから!」 「ぽっ……///」 この奇妙奇天烈バカメイドめ。 反省の色が全く見えてこないじゃないか!
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