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「帰ろうか、和傘」
「…………、ああ」
「女の子のボディーブローぐらいで情けなさいな」
「受けてみろ、是非」
駄目だ、目が本気だ。そんなに痛かったのか。
「遠慮する。……白雪さん、どうする?」
ピアノを閉じながら白雪さんに目を向ける。
「何っ!?」と声が上がる。何故だかファイティングポーズ。忙しい娘だなあ。
「一緒に帰る?」
「え!」
「嫌なら別にいいけど。……ここ閉めるからさ」
じゃらじゃらとカバンから鍵の束を取り出す。ピアノに鍵をするためだ。
「なんでそんなに鍵……」
「稜揶はこれでも風紀委員なんだよ」
「これでもってどういう意味? 一応、校内の鍵は全部持ってるからサボりたかったら貸してあげる」
「それがだよ」
「よく意味がわからないな、和傘」
風紀委員のくせにサボるな、なんて俺には無理だな。
周知のことなんだから今更だろ、そんなこと。
なんて思いながら戸締りを完了させた。
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