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結局、白雪さんは一緒には帰らなかった。
昇降口で歌部の生徒、紫炎先輩・輝龍先輩・幽霊会員・紅焔・ルナの5人に出会いそのまま連行されていった。
正直、5人に睨まれて対抗できるほど強くない。先輩後輩は大事にしないとね。
(「お前らズルいんだよ!」なんて言われたけど何のことだかわからないので笑っておいた)
「なあ、何で弾いたの?」
彼女らと別れてからしばらくして、和傘がそう言った。
その質問には単純に気になったとか、心配だとかそう言った感情が詰まっているんだろう。
そう顔に書いてあるのだから。
「いや? 弾きたくなって」
「……もう大丈夫ってことか?」
「何のことを言ってるのかよくわからないよ」
「……」
和傘は何度こうやってはぐらかす俺を見ただろうか。深く追求はしない親友には度々助けられている。
だが、俺の些細な変化に気づいて心配そうな顔をされるのは良心が痛んだりもするわけで。
「大丈夫だよ。もう一年以上経ってる。そこまで女々しくないよ? 俺」
知ってるだろ、そう和傘を見て言った。そうして言わないと彼が信用しないのはずっと昔から知っている。
……たとえ嘘だとしても。だが、今言ったことは嘘じゃない。血判してやってもいいぐらい。
「どっちかというと楽しみだよ、あと2年が」
――夕陽はもう、住宅街に消えていた。
―END―
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