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「見えるもの全部がきらいなんだ…だから消してしまいたいんだ。」
夕日が真っ赤に染める
町外れの古びた鉄筋の上で二つの影があった。
一人は短いボブカットの女の子が足を空にばたつかせていた。
もう一人は長い髪を風と遊ばせながら少し後ろにたっていた。
「世界なんてこんなものなんだ…生まれたときに持ってた希望なんか…ありきたりなんだ…」
噛み合わない言葉
幼いけれどどこかオトナびた声
ボブカットの女の子はずっと下を見る。
「…だったら…けしちゃえば?」
軽い口調
不思議な声
「簡単だよ?少しチカラを入れるだけ…そう…貴女の気持ち次第なの。」
「私は…わからない…どうしよう…壊れる?無くなる?何が?私?」
壊れたカセットテープみたいにボブカットの女の子は単語を繰り返す。
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