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気が付いたものの、また逝きかけるタルト。
「良かった…タルト君。」
そんなオズ達をにこやかに見つめるツヴァイは、話しの本題を切り出した。
「身体の方は大丈夫のようで安心しました。オズがこの方舟に迷い込んだ時は、オズ自身の存在がとても不安定だったんですよ。」
ツヴァイの説明を聞いていたオズだが、今一つ実感がなかった。
「ごめんなさいツヴァイさん、私ここに来た事をほとんど覚えてないんです…」
オズの返答にツヴァイは、ほんの少し表情を曇らせたが、また話しを続けた。
「そうでしょうね、木霊の庭園でオズを見付けた時は、貴女の存在が消えかけてましたから、ここに運んで挿入栞を使って仮記入の処置をしたんです。」
ツヴァイの聞き慣れない言葉にオズは首を傾げる。
「挿入栞?…仮記入?」
オズのそんな表情を楽しむかのように、ツヴァイは微笑みながらオズに何かを差し出した。
細長く輝く短剣のような何か。
「これが貴女の挿入栞です。」
オズはツヴァイから、それを受け取ると物珍しそうに眺めた。
金属のようでもあり、そうでない不思議な材質である。
「貴女が寝ている間に、それの再調整をしておきました。
新たな群書に入る時は、それを使って下さい。」
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