3章・Guardian Angel

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3章・Guardian Angel

「見捨てるって言うんですか?」  幻獣キリンの素材を用いて作成した防具を身に纏った少女が、見るからに屈強そうな、ディアブロス装備の男性ハンターに食ってかかっている。 「ああ、あんな化け物、俺達には歯が立たん」 「だからといって……」  男が彼女を制する。 「レニ、無理だ。ランドの奴を見ろ。アレのブレスを受けて一撃で黒こげ、火竜素材の鎧を着ていてコレだ」  男が指差した方には全身を包帯に巻かれた男が微かに息をしている。 「気持ちは分かる。だがあんなのは人間が戦える相手じゃねえ。直にあの化け物と戦える化け物が派遣される。何でもギルドに数人しかいねえ龍殺しらしい。ギルドも時間稼ぎのつもりで俺らを送ったんだろうが……あんなの相手に時間稼ぎも出来るかよ」  レニと呼ばれた少女はアレの姿を見てすらいない。他のメンバーがアレのいるエリアに入った瞬間ブレスで焼かれ、残ったメンバーに訳も分からない内に引っ張られて逃げ帰ったからだ。 「それでも……あの村にはまだ人がいるんです!せめてその人達を」 「いねえよ」  男はレニの言葉を遮り、 「あそこには生きてる人間なんざもういねえ。戻ったって無駄だ。俺らが出来るのは、これからくる化け物ハンターに一切を報告して、街に帰る。それだけだ」 「っ!私は!」 「レニ。お前は古龍は狩った事があるな。古龍は災害と同義、落雷やら台風に勝ったんだ。それだけでもすげえよ。だが、アレは災厄だ。解るか?神様が人間を滅ぼす為に産み落とした災いだ。人間にゃ勝てねえんだよ」  レニは俯いて拳を握りしめ、肩を震わす。 「分かりました」  男はそれを聞くと、肩の力を抜き、やれやれと腰を下ろそうとする。その瞬間。  鳩尾に鋭い痛みが走り、息が出来なくなる。 「が……っは……お前……」 「ごめんなさい、グリフさん。私、行きます。1人でも」  男は崩れ落ちながら少女を止めようとするが、その手は虚しく空を掴む。  レニは自らの武器、カブレライトで出来た板状の大剣を背に、未だ紅く燃える村へ走り出す。
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