3章・Guardian Angel

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「こんにちは、私はレニ。一応ハンターです」  青白いキリン装備に身を包んだ少女はそう言って頭を下げる。 「ん……?キミはさっき女の子を助けてあげてた子だよね」  少女の風貌はスコープから確認したシルエットと何となく一致する。 「ええ、はい。でもそれはアナタもですよ。いい腕ですね」  リンは苦笑を浮かべながらぽりぽりと頬を掻く。それを見てレニはにこりと清楚な笑顔を見せる。 「ん、ああ……私はリン。そっちの可愛いネコミミがナルで、そこのうすら蒼いのがアーリィね」  指を指して簡単にナルガ装備の少女とアスール装束の女性を紹介してやると、レニはそちらに向かってまた頭を下げる。 「それで、さっきの女の子はどうしたの?」 「はい。先に安全な場所に避難してもらっていた村人達の所に送っておきました。今のところ死傷者は確認されていません」  それを聞いてリンは胸を撫で下ろす。 「ありがとう、私達だけじゃもっと被害が出てたかもしれなかったよ」 「礼には及びません、それよりも」  レニはちらりとナルを見て、またリンに視線を戻す。 「アナタ達は〈何〉ですか?」  尋ねられ、リンはキョトンとする。しばしの間の後、真剣な眼差しを向けてくるレニに、 「んと……一応、この近くに最近出来たギルドに移籍してきたハンターだけど……?」  簡単に説明すると、一瞬間を置いてから、レニの表情がふっと柔らかくなる。 「そうでしたか。いえ、深い意味はありません。それでは村人のところへ案内します。彼等も一度街へ連れて行ってあげた方が良いでしょう」 「キミはどうするの?」 「私はもう少しこの辺りを散策して、残った村人やモンスターがいないか確かめてから街へ向かいます」  リンはレニに笑顔を向けながら。 「そっか、わかったよ。ギルドに一応伝えておくね」  それを聞くとレニも笑顔をリンに向ける。 「ええ、お願いします。とりあえずはついて来て下さい」  リンは了解、と親指を立てると、後ろの2人に声をかけ、レニの後をついて歩く。  火の手も収まりつつある村から立ち込める焦げた臭いがやたらと鼻につく。  リンは握り締めた手に僅かに汗をかいていた――。
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