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「うなーっ!どこよここはー!」
少女が密林の真ん中で叫びをあげている。長旅用の外套を羽織っているが、軽く羽織っているだけなので、開いた前から白い鎧が見え隠れする。彼女の名前はリン。レイアレイヤーと呼ばれる髪型で毛色は栗色、頭の天辺にぴこりと立つ髪の毛が特徴的な少女だ。
「まぁ落ち着け、リン。急いても良いことはない。ゆるりと行こうではないか」
リンに語りかけるこちらのギリギリ少女はアーリィ。外套は羽織らず、アスールと呼ばれる装備に身を固め、背には蒼い銃槍を背負い、青みがかった銀髪の左右に長いリボンを着けている。
リンはアーリィをキッと睨みつけ、
「狩り真っ最中の他人の狩り場に突入して、飛竜用の落とし穴に落ちて、火竜に気付かれて、タル爆弾仕掛けてた狩人さんごとブレスで吹っ飛んだ挙げ句、突進でその狩人さんの仲間3名まとめて突進に巻き込んで4人をネコタク送りにしたせいで、責任取らされて火竜を討伐するハメになった上、地図をブレスで燃やされてた……っていう人のせいでしょうが?!!」
「ふむ……誰だ、そんなおおごとを起こしたのは」
「いやキミだからね?!っていうか何でキミは無傷だったの?!」
そんな口喧嘩(一方的にリンが突っ込まされている)を後ろから眺めていた、外套を羽織ったこれまた少女が歩み出てリンにスッと何かを差し出す。
「ナル?どうしたの」
ナルと呼ばれた少女が差し出した手にはおにぎりが一つ。
「……食べて」
意味を考え、リンの思考が停止するとナルは首を傾げて、ジッと見つめてくる。お腹が空いてるからイライラしている、と思った様だ。
「……ありがと、でも大丈夫、お腹は空いてない。それはナルが食べていいよ」
溜息混じりにリンがそう言うと、ナルはナルガXキャップの様な髪型(地毛)のネコミミをピコピコと動かして笑顔でおにぎりを頬張る。……髪の毛、だよねアレ。
「とにかく……地図も無しに歩いてても分かんないし、一旦戻りましょう。あ、アーリィは余計な事何もしないで、ただ、ついてきて」
リンが強調して注意を促す。
「む、失敬な。まるで私が何かしでかすみたいではないか。大体余計な事とは、こういった石ころでも拾って、崖の方に向かって投げてみるとかか」
投擲された石が奈落に落ちていく。音はしない。しない……バサッ。バサッ、バサッ。
巨大な火竜が崖下から飛び上がってきた。
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