4章・湿地に潜むモノ

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 目の前には強張った青年ラーズと腫れた顔でぶすっとしている男ウィットがいる。 「ナル、おいしい?こっちもおいしいよ~」 「もくもく……こくん」  とても美味しそうに食べる女の子だなとラーズは思った。 「ふむ……ほうひえば、んぐ。ラーズにウィット、だったか。見たところ新米のハンターの様だが……はて、どこかで見たか?」  アーリィは巨大な、厚さ20cmはありそうなドラゴンステーキを頬張りながら尋ねた。 「ええっと……多分あの……二週間ほど前にあなた達がここに来た日に見たんだと思います。あの時僕達はほとんど意識がなかったみたいで、あなた達の事はよく覚えてないんですけど」  アーリィは成る程と頷き、 「ならばよく覚えておくといい。私はコンガではないぞ」 (ああ……まだ気にしてたんだ、この人)  そんな事を考えた瞬間じろりと睨まれ、ラーズはビクッとする。  最初から目も合わそうとしていないウィットが突然立ち上がる。 「オイ、ラーズ。もう行くぞ」 「え?ウィット、行くって?」  察しの悪いラーズに苛つくようにウィットは答える。 「仕事だよ。受けてたろうが、沼地のドスイーオス狩りをよ」 「え、あ、そうだけど、そんなに急がなくても……」  ほんとに察しの悪いヤツだ、と呆れた顔をして、ラーズを引っ張り立たせる。 「そういう訳でな、メスコンガの顔も見られたし、悪ぃが行ってくるわ」  そのセリフにリンはこめかみに怒りの四つ角を浮かべながら、 「新米クンにはピッタリの仕事よね。ここはちゃんとツケといてあげるから、しっかり稼いできなさぁい」  笑顔で見送る。 「ちっ、新米にタカンじゃねぇよ」  そんな2人に、食欲全開な四次元胃袋少女が、食事の手。いや、口を止め、 「お仕事……?気をつけてね……ご飯……ありがとう」  と、見送ってくれた。この時ラーズは何故か半泣きになってしまったらしい。  席が空いたので、アーリィは反対に移り、またドラゴンステーキを頼む。  ナルはテーブルに並んだご飯をちょうど平らげ、また注文している。どこに入れてるんだろう、ほんとに。  そんな2人を見ながら、食事を終えたリンはチラッと見る。そこには乗っていたモノが綺麗に片付けられたお皿達がある。
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