4章・湿地に潜むモノ

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「いやまぁ、何て言うか惨劇の後だよね、財布的に」  積み重ねてある皿が古塔の様に見える。  天まで届かせるが如く皿を積み重ね続ければ間違いなくどこかの伝承の様に天罰が降るだろう……財布の中身に。 (ホント今日は感謝ね、あの2人に。おかげでリンちゃんのお財布様は惨劇を免れました)  両手を合わせ、天に召された(死んでねぇ)2人に黙祷を捧げる。 「ま、それはどうでもいんだけど……はあ……」  リンはジュースを片手に依頼書を出し、溜息を吐く。 「なんかしょっぱい依頼ばかりなんだよね……」  アーリィは漸く来た肉を切りながら言う。 「仕方ないだろう。ここは新設したばかりのギルドだ。良い依頼など回ってこないさ」  リンは納得いかない表情をする。 「それはそうなんだけど……」  ナルはデザートなのかギルド饅頭、ギルまんを食べ始めていた。 「もく……もく」  嬉しいのかネコミミがピクピク動いている。クドい様だが、アレは髪の毛だ。 「しかし……イャンクックだとか、今更ねぇ……。まぁ仕方ないか」  リンが受付に依頼書を出そうと思ったその時。 「すみませーん!このギルドにスッゴい強いチームが来てるって聞いてきたんですけど!」  勢いよくその少女はやってきた。リンが求めていた、〈稼げる依頼〉をその手に持って。  しかし、その依頼が新たな火種を起こす……。
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