笑撃・これでもか物語 in 歯医者

第一章 これでもかへの招待

『これでもかへの招待』

高見沢一郎は、歯医者の診療椅子に座り診察を待っている。

そして、ボーと腑抜け状態。

それは今、目の前にある診療用のモニタ－画面を眺めているから。

今日、高見沢が予約を取って訪ねて来たこのテクノ歯科。
それは、最近高見沢の家の近くに開業した。

トンガリ帽子の形をした建物で、外見は洋風でモダン。
とは言っても、少しやり過ぎの感がある。

歯医者にしては雰囲気の合わないド派手な看板を掲げ、外壁は見事にピンク色。　
何ともセンスが悪い。

吐き気を催すような色調なのである。　

そんな色合いからは、あからさまに人目を引き、客を呼び込みたいという商売っ気がありありと滲み出て来ている。

しかし、高見沢には他に選択肢がなかった。

なぜなら、２週間ほど前から奥歯が痛み出して来ていて、仕事の関係上から近場の歯医者で治したかった。