Prologue

2/2
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
真っ赤だ。 でも、あたたかい。 臭い、鉄の匂い。 でも、心地良い。 血、血、血……。 僕の手には…とても美しかった銀色の剣。君の胸に突き刺さり、それは赤黒い液体を纏い美しさなど欠片もない。けれど、僕はそれが正しいと思った。君の胸を突き抜いたこの剣は、僕の心はきっと、無駄じゃない。苦しいよ。ほんの一瞬だったのに、とても長い時間が過ぎたみたい。少し遅れてやってくる痛みは僕の胸に突き立つ、見慣れた長剣のせい。たくさんの獲物を仕留めて、たくさんの命を奪った剣。それが今、僕の胸を突き抜けた。痛い。けれど、君の心も無駄じゃない、きっと…きっと。 ――君と生きたいんだ。 ――君と一緒に生きたいんだ。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!