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「何処に行った!」
「屋上に続く階段で見たと連絡がありました!」
「よし、急ぐぞ!」
警備員の二人は、仲間と無線で連絡をとりながら、男を追っていた。
屋上に続く階段を、息を切らして走り上がると、屋上に出るためのドアに警備員が他に三人いた。
「どうした?何をもたついてる?」
「ドアが開かないんです」
「どれ、かわれ」
ドアノブを握りながら、勢いよく体当たりをする。
ガン!と、凄い音と共にドアは開いた。
ドアが開くと、男は屋上の端に立っていた。
すると次の瞬間だった。男は屋上から飛び降りた。
警備員達は、大変だと男が飛び降りた屋上の端に駆け寄る。
警備員達が下を覗くと、男は居ない。
「あそこだ!」
警備員の一人が、向かいのビルを指差した。
男は向かいのビルの屋上に立っていた。
不敵に両腕を軽く広げる。うっすらと見える男の口元は、笑っていた。
“捕まえてみろ”
まるでそう言っているようだった。
男は、警備員達に背中を向けて、ゆっくりと歩いていった。
警備員達は、何が起きたのか理解できずに、呆然と男を見ているだけだった。
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