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現在、朝の5時……
太陽が登ったばかりのこの時間帯に、ある一人の青年――
いや……
ある一人の少女と言うべきであろう、鎌森隆子が部屋中に響き渡る目覚まし時計の音と共に目を開けた。
まだ、まぶたが重いようで目が半開きである。
そして、鎌森は、その状態のまま、手探りで目覚ましを止める。
いっきに静まり返ったこの部屋。
そんな中、思いっきりアクビをする鎌森……
次に鎌森は、ゆっくりゆっくりと、今まで寝ていた布団から立ち上がった。
その光景は、生後間もない動物が生きるために立ち上がっているものを見ているようなものであった。
さらに、立ち上がった後は、部屋のカーテンを開け、そして窓も……
部屋の中に朝の涼しい空気が入ってくる。
鎌森は、その空気をめいいっぱい吸い込んだ。
その後、窓を閉めて一階の食卓へと降りていく。
「おはよう!」
「おはよう!今日はいつもより早いわね!さあ、早く朝ごはん食べてしまいなさい。」
本来ならそういう会話がどの家庭にあってもおかしくはないだろう。
しかし、この家庭は違った。
一階に降りたところで、そこには誰もいない……
また、テーブルの上に一枚の置き手紙があった。
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