40人が本棚に入れています
本棚に追加
地面に描かれた魔法陣は、ここ冬木市にて行われる秘儀――聖杯戦争――の際に参加者が必ず行なう儀式――
『サーヴァント召喚』の為の儀式だ。
彼女は念密な工程と下準備、自身の魔力の鋭敏化、そして…そのサーヴァントを呼び出す為のアーティファクトを用意してその時を待った。
「まぁ…退却させれたのは幸運だったわ」
そう、既に彼女はサーヴァントとマスターの襲撃を受けている。
「……んでだ、え~とマスターって呼ぶのなんか嫌だから代乃って呼ぶぞ。」
「代乃って呼ぶな!!!」
「………つ…つぅ~!でけえ声だなぁ…アレか?その無駄にたわわに実ったバカチチに拡声器でも搭載してんの…かふぇっ!!」
凄まじい勢いで繰り出した左フックが肝臓に突き刺さる。人間だったら確実に病院送りだっただろう。
「だ・れ・が…バカチチよ!!!気にしてるんだから言うな!この…ダメサーヴァント!!!」
「はいはい……」
既にダメージが抜けているのか、立ち上がる男。
背はさほど高くない。日本人平均より少し上ぐらいだろうか。仕立ての良いスーツを纏ってはいるが顔は、まだ青年そのものだ。
「ったく…とにかく一旦母屋に行くわよ【アヴェンジャー】」
「はいはい…ご主人様」
「何よそれ…」
「名前で呼ばれんの嫌なんだろ?」
「もういいわ…代乃って呼びなさい」
「おっ?マジで?」
――アヴェンジャー――
復讐者の名を持つサーヴァント。
存在しない第八のクラス。
彼女がその出会いをし、襲撃される時まで話を戻そう―――
最初のコメントを投稿しよう!