―序章―      はじまりのあやまち

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地面に描かれた魔法陣は、ここ冬木市にて行われる秘儀――聖杯戦争――の際に参加者が必ず行なう儀式―― 『サーヴァント召喚』の為の儀式だ。 彼女は念密な工程と下準備、自身の魔力の鋭敏化、そして…そのサーヴァントを呼び出す為のアーティファクトを用意してその時を待った。 「まぁ…退却させれたのは幸運だったわ」 そう、既に彼女はサーヴァントとマスターの襲撃を受けている。 「……んでだ、え~とマスターって呼ぶのなんか嫌だから代乃って呼ぶぞ。」 「代乃って呼ぶな!!!」 「………つ…つぅ~!でけえ声だなぁ…アレか?その無駄にたわわに実ったバカチチに拡声器でも搭載してんの…かふぇっ!!」 凄まじい勢いで繰り出した左フックが肝臓に突き刺さる。人間だったら確実に病院送りだっただろう。 「だ・れ・が…バカチチよ!!!気にしてるんだから言うな!この…ダメサーヴァント!!!」 「はいはい……」 既にダメージが抜けているのか、立ち上がる男。 背はさほど高くない。日本人平均より少し上ぐらいだろうか。仕立ての良いスーツを纏ってはいるが顔は、まだ青年そのものだ。 「ったく…とにかく一旦母屋に行くわよ【アヴェンジャー】」 「はいはい…ご主人様」 「何よそれ…」 「名前で呼ばれんの嫌なんだろ?」 「もういいわ…代乃って呼びなさい」 「おっ?マジで?」 ――アヴェンジャー―― 復讐者の名を持つサーヴァント。 存在しない第八のクラス。 彼女がその出会いをし、襲撃される時まで話を戻そう―――
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