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深夜、衛宮邸―――
「――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」
ただ静かに粛々と詠唱を続けていく。彼女には過大な期待も矮小な願いも無く、ただひたすらに自身の作った設計図通りに作業をこなす。
「誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、
天秤の守り手よ―――!」
魔方陣が光り輝く、成功したはずだった――
「……うそ……」
顕れたのはスーツ姿の普通の青年。
「……ん?…よぉ初めまして。」
「……えぇ~!!!」
「んだよーサプライズすぎて固まっちゃった?……ほっ!」
胸をわしづかみにし、リズミカルに揺らし…
「起きろ、起っきろ、チチおんな~は~やく起きないと俺のが起きちゃうぞー」
「……ハッ!!!…………この…ド変態がっ!!!」
豪快に吹っ飛ぶ男。
一応…サーヴァントなんだけど…彼女の一撃は、まさしく大砲だった。
「もう~軽いウィットにとんだジョークなのに~」
「なにが…ウィットよ!!!…ていうかアナタ何のクラスよ!!!」
「クラス?…アヴェンジャーだけど?」
「へ?」
再び固まる。無理もない。彼女の呼び出したかったサーヴァントはセイバーなのだ。
召喚失敗、おかしなクラス名を口走るサーヴァント……彼女の中では最早、聖杯戦争は終結した……
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