―序章―      はじまりのあやまち

4/10
前へ
/17ページ
次へ
深夜、衛宮邸――― 「――――告げる。 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」 ただ静かに粛々と詠唱を続けていく。彼女には過大な期待も矮小な願いも無く、ただひたすらに自身の作った設計図通りに作業をこなす。 「誓いを此処に。 我は常世総ての善と成る者、 我は常世総ての悪を敷く者。 汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、 天秤の守り手よ―――!」 魔方陣が光り輝く、成功したはずだった―― 「……うそ……」 顕れたのはスーツ姿の普通の青年。 「……ん?…よぉ初めまして。」 「……えぇ~!!!」 「んだよーサプライズすぎて固まっちゃった?……ほっ!」 胸をわしづかみにし、リズミカルに揺らし… 「起きろ、起っきろ、チチおんな~は~やく起きないと俺のが起きちゃうぞー」 「……ハッ!!!…………この…ド変態がっ!!!」 豪快に吹っ飛ぶ男。 一応…サーヴァントなんだけど…彼女の一撃は、まさしく大砲だった。 「もう~軽いウィットにとんだジョークなのに~」 「なにが…ウィットよ!!!…ていうかアナタ何のクラスよ!!!」 「クラス?…アヴェンジャーだけど?」 「へ?」 再び固まる。無理もない。彼女の呼び出したかったサーヴァントはセイバーなのだ。 召喚失敗、おかしなクラス名を口走るサーヴァント……彼女の中では最早、聖杯戦争は終結した……
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加