40人が本棚に入れています
本棚に追加
―深山町、交差点―
深夜、生き物はおろか草花すら息を潜める闇に二つの人影が見える。
ひとつは学生服の上からコートを羽織った黒髪の少女。
ひとつは白いブラウスに金砂のような美しい金髪の少女。
「セイバー。現界したばかりで悪いけど…早速やるわよ。」
「分かりました。セイバーの名に恥じぬ働きを約束します。」
コートの少女、遠坂凛はマスターとしてサーヴァントに最初であり最も重要な命令を口にする――
「あの邸宅に住んでる魔術師は、アインツベルンのマスターより、ある意味厄介なの。出し惜しみはナシ。一気に片を付けるわ!」
「――心得ました。」
鈴の音のような音がすると、そこには銀の鎧を纏う騎士がいた。
セイバー
剣士のクラス…最も優れた能力を持つ最良のサーヴァント。
事実、過去の聖杯戦争においても最後まで生き残ったサーヴァントはセイバーだ。
遠坂凛は勝利の確証をほぼ持っていた。
残りの問題は…
「衛宮代乃……貴女を倒してしまえば全て終了よ。」
マスターである凛を抱え一足飛びに衛宮邸に着く。
「さあ…始めましょうセイバー!」
「……」
セイバーは感じていた。
得体の知れない『なにか』が二つその中にあることを。
まるで獅子の顎に自ら頭を差し出すように…ためらっていた。
「……何を恐れる。例え獅子の顎であろうと、竜の名を持つ私に退却は無い!」
衛宮邸に突入するセイバー。
……そこに待つは……
最初のコメントを投稿しよう!