―序章―      はじまりのあやまち

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―深山町、交差点― 深夜、生き物はおろか草花すら息を潜める闇に二つの人影が見える。 ひとつは学生服の上からコートを羽織った黒髪の少女。 ひとつは白いブラウスに金砂のような美しい金髪の少女。 「セイバー。現界したばかりで悪いけど…早速やるわよ。」 「分かりました。セイバーの名に恥じぬ働きを約束します。」 コートの少女、遠坂凛はマスターとしてサーヴァントに最初であり最も重要な命令を口にする―― 「あの邸宅に住んでる魔術師は、アインツベルンのマスターより、ある意味厄介なの。出し惜しみはナシ。一気に片を付けるわ!」 「――心得ました。」 鈴の音のような音がすると、そこには銀の鎧を纏う騎士がいた。 セイバー 剣士のクラス…最も優れた能力を持つ最良のサーヴァント。 事実、過去の聖杯戦争においても最後まで生き残ったサーヴァントはセイバーだ。 遠坂凛は勝利の確証をほぼ持っていた。 残りの問題は… 「衛宮代乃……貴女を倒してしまえば全て終了よ。」 マスターである凛を抱え一足飛びに衛宮邸に着く。 「さあ…始めましょうセイバー!」 「……」 セイバーは感じていた。 得体の知れない『なにか』が二つその中にあることを。 まるで獅子の顎に自ら頭を差し出すように…ためらっていた。 「……何を恐れる。例え獅子の顎であろうと、竜の名を持つ私に退却は無い!」 衛宮邸に突入するセイバー。 ……そこに待つは……
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