第三章

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「確認とかは?全部チェックしたの?」 「は、はい…。ちゃんと確かめたんですけど…。」 男性社員は私に怒られると思っているのか、語尾がどんどん小さくなっていった。 「…ハァ…いいわ、私がする。貴方はもう帰りなさい。」 窓の外は日が暮れ、時計の針は8時を指していた。 「で…ですが、チーフもお忙しいのに…。」 「平気よ。社員の失敗の責任を負うのも上の者の役目だから。貴方は気にしないで帰りなさい。奥さんが待っているんでしょ?」 私の知る限りでは、彼はまだ新婚だった。 きっと奥さんも夫の帰りを待ち遠しく思っているだろう。 「…あ、ありがとうございます!!」 私の言葉を聞くと、男性社員は本当に嬉しそうにお礼を言った。 そして帰り仕度を済ませると、「お先に失礼します。」と言って帰っていった。 (さてと、さっさと済ませて帰ろう…。) 私は彼が出て行った後、すぐに仕事を再開した。
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