第三章

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(あ---…なんか本当に忙しいなぁ…) 「佐藤さんって、実はMなんですか?」 「!?」 必死になって仕事をこなしていると、後ろの方から声がした。 振り向いた先には遠藤 克己が立っている。 私以外の社員は全員帰ったと思っていたため、かなり驚いた。 「な…なんであなたがまだ残ってるの!?」 「自分追い込むの好きそうですし…あ、Sでもあるかな。」 「人の話を聞きなさいッ!!」 私が質問しているのもお構い無しに、かみ合っていない話をしている。 「もう少し肩の力を抜いた方がいいと思いますけど…」 彼の言葉を聞いていると、先程驚いて急に立ち上がったためか、頭がクラッとして体が斜めに傾いていく。 (あ…ヤバ…倒れる…!) 「…なんか、佐藤さん見てると危なっかしいんですよね。」 床に倒れこむと思い目を瞑った。 だが、床の感触は訪れない。 その代わり、囁くような声と共に温かいものに包まれた。
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