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先程のケンカ(?)の事もあり、2人きりの休憩室に気まずい空気が漂う。
克己の横顔も、何となく怒っているようにも見える。
私はどうしたらよいのかわからず、こっそりと克己の横顔を見つめていた。
すると不意に克己が顔を上げ、目が合った。
ドキッ
思いがけず目が合い、心臓が飛び跳ねた。
克己は知ってか知らずかどんどん近づいてくる。
(え…ッ、え、どうしよ…ッッ!!)
克己の手が頬に触れる。
私はギュッと目を瞑った。
「…熱、また上がってきましたね。」
「えッ!?」
目を開けると目前に克己の顔。
私はおでこを克己のおでこに当てられていた。
(ち、近い…ッッ!!)
「顔も赤いし、もう少し寝てて下さい。」
そう言うと、克己は私を再びソファーに寝かせ、毛布をかけた。
「で、でも…ッ!」
私が起き上がろうとすると、それを阻止された。
「いいですから、気にしないで寝て下さい。別に佐藤さんが寝ても、襲おうなんてつゆも思っていませんから安心して下さい。」
「な…ッ!?」
女としてのプライドを壊されるような言葉に私は反応してしまった。
すると克己は私の方を向き、意味深な笑みを浮かべる。
「あれ?その反応を見ると、俺に襲われたいんですか?」
「!!」
別にそんな事を考えていたわけでもないのに、私は図星をつかれたかのようにカーッと顔が熱くなった。
「バッ、バカな事言わないでッ!!私があなたに対してそんな事思うわけないでしょッ!もう寝るからッッ!」
私は顔を隠すようにして毛布をガバッと上から被った。
私の耳に、克己の笑いを押し殺すような声が聞こえる。
「…フッ…。どうぞ。佐藤さんが起きるまで俺も居ますから、気の済むまで休んでいて下さい。」
笑いがおさまったのか、優しい声が響く。
私はその声に促されるように眠りに落ちた。
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