第三章

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「お、おはようございまーす…。」 恐る恐る入ってくる私に気付いた専務と目が合う。 「あっ、やっと来たな!ちょっと佐藤君!!」 「は…はいッ!すみませんッッ!!」 (き、来たッ!怒られる~ッッ!!) こうなったら先手必勝だ!と思った私は、専務が続きを言うより先に頭を下げた。 「何を謝っているんだ?いやぁ、それにしてもさすが佐藤君だ。あれだけの量を一日、いや、半日で終わらすとは!あれは結構大事な仕事だったんだが、やっぱり君に任せて正解だったよ。」 顔を上げると、そこには私が想像していた鬼のような顔ではなく、心から嬉しそうに笑っている専務の顔があった。 (え、えッ?どういう事!?) 「あ…いや、私は別に…」 私にはまったく身に覚えのない事だった。 昨日は高熱に倒れた後、全然手をつけていない。 終わっているはずがなかった。
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