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「今回の社内業績トップもまた、佐藤君だ。おめでとう。」
「ありがとうございます。」
パチパチパチと拍手が私に向けて注がれる。
「これで5年連続トップよ。さすが佐藤さんよね。」
「ホント、凄いわよね。やっぱりチーフを任せられるだけのことはあるわ。」
私よりも若い女性社員達が尊敬や憧れの目を向け、囁く。
これは私にとっては当たり前の日常となっていた。
私の名前は佐藤 奈美子。
25歳。独身。
彼氏イナイ歴5年。
ー『お前なんにもできないから、正直一緒にいると疲れるんだ』ー
5年前、付き合っていた相手にそう別れ話を切り出された。
その事が悔しくて、私は絶対にもうそんな事は言わせまいと努力し、その結果、社内業績1位というところまで辿り着いた。
そして今では1つの企業を任せられ、そこのチーフとなっていた。
「チーフ、おめでとうございます!」
「おめでとうございます!今回もきっとトップは佐藤さんだと思っていました!」
後輩や同僚達が口々に褒め称える。
「ありがとう。さ、今日も1日頑張りましょう!」
5年間ずっと、私は周囲の人を見返すために努力してきた。
だからこそこの功績は当たり前であり、これからも続いていくものだと信じてやまなかった。
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