第二章

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「ちょっと、大丈夫!?…あぁもう、こんなにバラまいて…!」 私はあちこちに散らばっている書類を拾い集める。 すると、克己はむくっと起き上がって一緒に集め始めた。 「大丈夫です。…すみません、その書類、こちらへもらえますか。」 黙々と集めていたかと思うと、おもむろに下を向いたまま克己が言った。 「え?」 「その手に持っている書類です。俺にください。順番、元に戻しますから。」 克己は一旦手を止め、私の方を横目で見て手を伸ばしてきた。 私は咄嗟に書類を差し出す。 そして克己が書類を受け取った後にハッと気付く。 「元に戻すと言ったって、番号書いてないからわからないんじゃ…」 「大丈夫ですよ。ちゃんと覚えてますから。」 克己はそうあっさり言うと、書類を抱え直しコピー機へと向かっていった。 私は克己の最後の言葉が信じられなくて、その場で呆然としていた。 (『ちゃんと覚えてる』!?あり得ないわ!あの書類、何枚あると思ってるのよッ!? 意地張っちゃって可愛くない! 勝手に失敗して思いしればいいんだわッ!!) 私は頼られなかった事に対して腹が立った。
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