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「ガァァァァァァ!」
勝利を確信したかのように、キマイラは雄々しい雄叫びをあげる。それと共に、人口の大地を蹴り、彼女へと襲い掛かった。
「っ─────!」
声にも出せぬ、恐怖に覆われた悲鳴。目をつむり、ひたすら現実から逃げるようにして、晶子は本能寺に死を覚悟した。
(もっと、生きたかった)
視界が閉ざされた状態の晶子は、猛スピードで前方からくる強い風に怯え、ボロボロと大粒の涙をこぼしていた。
しかし、晶子が殺されることはなかった。
牙が晶子の頸動脈を捉えるすんでのところで、銀髪の少年がそれを遮ったからだ。
左手に持つ、少年の髪に負けないくらいまっさらな銃。それをキマイラの口に突きつけ、即座に二連射。キマイラが、仰け反ったのを確認し、彼は飛んだ。
優しく温かい《何か》が自分の体を掴んだのが、晶子には判った。恐る恐る目を開くと、何と、宙に浮いているではないか。
「え…………キャァーーーー!」
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