第1章 オリジナル

11/11
前へ
/12ページ
次へ
『その根拠は?』 『争った形跡も無く、 睡眠薬は微量の検出で、 しかも即効性の無いものだったしね。』 鋭いな…。 続けて瞬は話す。 『部屋を汚したく無いから風呂場で手首を切ったんだろうな…。』 『自殺だとして、 凶器は何処に消えてしまったの?』 萌ちゃんが口を挟む。 『アァ…。 それは簡単さ…。 被害者は、 殺害に見せ掛けたかったんじゃないかな?』 『どういう事?』 僕が問う前に、萌ちゃんが聞く。 『風呂場の浴槽のお湯を使えば、 凶器は消せるからだよ。』 す、鋭い…。 『凶器が消せる…?』 萌ちゃんは黙り考え込む。 『話を戻そうか…。 死ぬ前に会って居たのは、 萌の言う通り親しい人だろうな…。』 『何故そう思うの?』 『即効性は無いとしても、睡眠薬を人前で飲むんだから、 親しく無いと出来ないだろう。』 完璧な程に当てられている…。 『まぁ、 結論から言うと、 犯人は自分で、他殺に見せ掛けた自殺。 凶器は氷で作ったナイフ状の物だな!』 ハァ…。 溜め息を付き僕は項垂れる。 頑張って考えたのに、あっさりと当てられるとは…。 『正解だよ…。』
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

57人が本棚に入れています
本棚に追加