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じいちゃんに連れられて家を飛び出してから、何年たったんだろう…。
じいちゃんは死んじゃって、俺はローデリヒさんに引き取られて暮らしてた。
エリザベータさんは優しくて、ローデリヒさんはちょっと厳しかったけどピアノの音色はとても好き。
そして、君も居て──……。
ローデリヒさんの家から出て、俺は一人暮らしを頑張っていた。
もうすぐ高校に上がるという頃、小さい頃遊んでもらったアントーニョ兄ちゃんがやって来た。
「フェリちゃん久しぶりやなぁ。ちょっと用があるんやけど、ええ?」
そう言うとアントーニョ兄ちゃんの後ろから一人の青年が顔を出す。
上に飛び出たくるん。
自分によく似た容姿。
記憶の奥底に眠るあの頃の面影…。
「…兄、ちゃん?」
俺が呟くとアントーニョ兄ちゃんは頷いた。
「フェリちゃん達が出てった後、俺が引き取ってたんや。ずっと離れ離れやったし、そろそろ一緒に暮らしてもええと思わん?」
ほらロヴィ、とアントーニョ兄ちゃんに促されて兄ちゃんは口を開いた。
「…ロヴィーノ・ヴァルガスだ。覚えてんだろうなこのやろー」
こうして俺と兄ちゃんは一緒に暮らすことになった。
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