prologue

3/7

105人が本棚に入れています
本棚に追加
/277ページ
「ロヴィ、フェリちゃんと暮らさへんの?」 アントーニョが唐突に言ってきた。 俺は顔を上げてアントーニョを見つめる。 「何だアントーニョ」 「だからフェリちゃんと暮らさへんのって言うてんやけど?」 「何で急にそんな事言うんだよ…」 俺はぎゅっと拳を握った。 …こいつも俺を捨てるのか? じいちゃんが家を出た時、フェリシアーノだけを連れて行った。 俺は連れて行ってもらえなかった。 捨てられたんだ。 弟の方が愛想良かったし、絵も上手いし。 俺は不器用で愛想良くできないし。 だからじいちゃんはフェリシアーノを連れて行ったに違いない。 俺はダメダメだから…、アントーニョも俺の事…。 俯いていると、くしゃくしゃと頭を撫でられた。 顔を上げるとアントーニョは笑っていた。 「ロヴィ、また変な事考えてたやろー?」 「なっ、何言いやがるちくしょー!」 ちぎーっ!と怒りながらアントーニョを睨むが、アントーニョは微笑んだまま。 「大丈夫やで。親分は別にロヴィを捨てようとは思ってへんで」 「……っ」 考えていた事を当てられて俺は黙る。
/277ページ

最初のコメントを投稿しよう!

105人が本棚に入れています
本棚に追加