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「ロヴィ、フェリちゃんと暮らさへんの?」
アントーニョが唐突に言ってきた。
俺は顔を上げてアントーニョを見つめる。
「何だアントーニョ」
「だからフェリちゃんと暮らさへんのって言うてんやけど?」
「何で急にそんな事言うんだよ…」
俺はぎゅっと拳を握った。
…こいつも俺を捨てるのか?
じいちゃんが家を出た時、フェリシアーノだけを連れて行った。
俺は連れて行ってもらえなかった。
捨てられたんだ。
弟の方が愛想良かったし、絵も上手いし。
俺は不器用で愛想良くできないし。
だからじいちゃんはフェリシアーノを連れて行ったに違いない。
俺はダメダメだから…、アントーニョも俺の事…。
俯いていると、くしゃくしゃと頭を撫でられた。
顔を上げるとアントーニョは笑っていた。
「ロヴィ、また変な事考えてたやろー?」
「なっ、何言いやがるちくしょー!」
ちぎーっ!と怒りながらアントーニョを睨むが、アントーニョは微笑んだまま。
「大丈夫やで。親分は別にロヴィを捨てようとは思ってへんで」
「……っ」
考えていた事を当てられて俺は黙る。
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