序章

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 緑豊かな木々に、色鮮やかな草花。陽光を反射させ、美しく輝く湖。大小、姿形も様々な生物。  生命の宝庫たる森に囲まれた、広大な平野。  そして、そんな大自然を丸く切り取る、城壁。  内側には、活気あふれる人々が暮らしている。  立ち並ぶ家々。清潔な山水が流れ込む水路に沿うように、石造りの道路が縦横無尽に走る。  その蜘蛛の巣のような生活圏の中央に建てられたのが、この繁栄の中核でもある、王城だ。  この国の名は《フォールバレー》。人と自然が共存する、美しき国である。  国民も国王も、時にゆっくりと、時に忙しなく生きている。  しかし、そのような穏やかな平和は、たった一言で破られることになる。 「こ、国王様! 大変でございます!」 「……何事だ」 「この国に魔物が、魔物が攻めて来ております!」
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