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店に出て周りを見渡せば、客からの視線が集まっている。
それにつられ店員も新星を見て新星だと気付いた人は目を見開いていた。
………うぜえ
正直な感想だった。
新星は表情に不機嫌さは出さなかったものの、いらいらはどんどんたまっていっていた。
「あはっ、シィちゃんかわい~」
かけられた声に振り向くと、月だった。
店長が言っていた通り、女装をしている。
絶対変だと思っていたが、これには驚いた。美人なお姉様風だ。
「シィちゃん?」
小声で聞き返すと月はニコッと笑ってスッと新星の胸の名札を指差した。
「シィちゃんでしょ?予想以上♪可愛いなぁ…食べちゃいたいくらい♪」
その言葉にはあまり突っ込みはせずに答えた。
「……ありがとうございます。でも月さんとっても綺麗ですね。」
にっこりと笑って女声で言うと月はピタッと動きを止めた。
新星はそれを無視してオーダーを取りに行った。
「ご注文はお決まりですか?」
バリバリの女声。これが男だと気付く人は人の身体を知り尽くしている人物だけだろう。
ま、俺は演技好きだからあんまいーけどな♪
さっきの月の反応とかマジよかったし♪
客の女が言った。
「えっと…このティーセットを一つ下さい」
「紅茶は何にいたしますか?」
「えっと…おすすめで…」
…………可愛い!
何だよこの客…女の子って感じだ…。
「かしこまりました。ティーセットを一つ、紅茶はおすすめでよろしかったですね?」
コクンと頷いたのを確認する。
「でわ、失礼します。」
最後にもう一度ニコッと笑って厨房に伝えに行った。
「おい、ノバ、チラシ配り行ってくれ!」
「わかりました~」
めんど…
笑顔の反面そんなことを思っていた新星だった。
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