密かな始まり

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…ここは… とある場所にある 『占いの舘・HIRARA』 である。 ここでは、美人占い師の『小桜・ヒララ』が貴方の運命を的確に占ってくれるだろう…。 光沢のある赤い布が、壁一面に掛けられ どこからか、神秘的な香りのする煙が漂っている…。 黒い布が掛けられた小さなテーブルの上には、丸い水晶玉が。 それを挟み、客とヒララが向かいあっている。 客は、中年のサラリーマン風の男。 椅子に座りながら、落ち着かない様子でヒララに問う。 「それで… 密かにやっていた株を失敗して、大量の借金を作ってしまい… 妻子にも逃げられ、会社もクビになってしまいました。 もう、生きてく気力がありません… ヒララさん… 僕、中央線にダイブしようと思うんです」 「ふ~ん…」 ヒララは、全身に黒い衣装を纏い 薄いヴェールから覗く、端正な口元から言葉を吐く。 「中央線よりも、磐越西線にダイブしたほうが良い…と、私の占いでは出てるわね」 「えっ…どうして…」 「貴方が磐越西線へ向かう途中、貴方の人生を変える『出会い』があるわ。 その出会いとは、相手が人間とは限らないけれど…。 よく、周囲に目を向けながら磐越西線へ向かいなさい。 分かった?」 「は…はい!! ありがとうございます!!!!!! 僕の人生にも、何らかの光があるのかな…!! とりあえず、その出会いを求めて磐越西線に向かってみます!!! ありがとうございました!!」 「ウフフ… 頑張ってね…」 こうして、客は満足気に去っていった。 ヒララはひと呼吸置き、その黒いスカートからのぞく美しく脚を組み変える。 そして… 「はい、次の方、どうぞ~」
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