9人が本棚に入れています
本棚に追加
すると海ちょんは、優しげな笑みを浮かべて
「椿稀ちゃん…
ほんとは、他にも色々と迷ってることがあるんじゃないのかな…?」
「えっ…?」
「もしかしたら…
納得のいくアイディアが思い付かないのは、心をデザインに対して集中させない『何か』があるのかもしれないぉ」
「……言われてみれば、そんな気もするわ…。
自分の将来のことだったり、周囲の人たちの言葉が耳障りだったり…
不安だったり、嫌だと思うことがある度に、私の中の何かが冷めていくような気がして…」
すると海ちょんは立ち上がり、お菓子作りを再開させながら言う。
「ねぇ椿稀ちゃん、知ってる?
最近ね、近くで『占い屋さん』が出来たんだよ。
小さくて、あまり目立たないんだけど…
そこでやってる『小桜・ヒララ』っていう占い師さんの占いは、よく当たるんだって。
その人に見てもらえば、答えが見つかるかもしれないよ!」
「占い師…
なんだか、胡散臭いなぁ。
占いをするとか言って、そのままおかしな宗教に誘われたりしないかしら」
「いやいや、それは無いから!!
椿稀ちゃんたら、想像力豊かなんだねぇ~」
「貴方に言われたくないわ。
海ちょん」
…こうして、時間が経ち…
海ちょんの作ったお菓子が完成した。
「じゃーん!!見て見て!!
海ちょん特製、カラフルマカロンだぉっ!!」
海ちょんはそう言いながら、鉄板の上にのった焼きたてのマカロンを椿稀に見せた。
クッキングペーパーの上には、色とりどりのマカロンが並べられている。
「わぁ…美味しそう…!!
色んな色があるわ。
黄色…ピンク…水色…
まるで、マリー・アントワネットの住む王宮で出されたお菓子そのものだわ…!!」
「うふふ。椿稀ちゃんたら、相変わらず想像力豊かな発言をするぉ」
「貴方に言われたくないわ。
海ちょん」
最初のコメントを投稿しよう!