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こうして海ちょんは、出来立てのマカロンを小皿の上に数個並べる。
「はい、椿稀ちゃん!
キッチンを貸してくれたお礼だぉ。
良かったら食べてね!」
「ありがとう、海ちょん。
このマカロンを食べたら、いいアイディアが浮かびそうな気がするわ…!!」
「どういたしまして。
さーて、残ったぶんは、ミクニ君に届けに行こうっと!」
椿稀の住むアパートの近所には、海ちょんが想いを寄せる青年『ミクニ』が住んでいた。
そういうことで、海ちょんは度々椿稀の部屋にあるキッチンを借りてお菓子や料理を作り、ミクニに届けていたのだった。
「ミクニくん…
今日は、起きてるといいなぁ。
海ちょんが行くと、いつもグースカ寝てるんだもん…」
そう呟く海ちょんに、椿稀は笑いながら
「うふふ。
ミクニくん、今日は起きてるといいわね」
「うんっ!
じゃあ、行ってきまーすっ!!!」
海ちょんはそう言うと、元気よく椿稀のアパートを出ていった。
海ちょんが去った後、椿稀はため息をつぎながら呟く。
「海ちょん…
あんなに一途で、たまに度が過ぎるほどにミクニくんを想ってる…。
いつか、その想いが届くといいね。
海ちょんは、とてもいい子なんだから…」
海ちょんは、最近話題の『age嬢』を目指しているギャル系な女子だった。
だが、その一見派手そうな外見とは裏腹に、料理上手な一面を見せる。
椿稀は、そんな海ちょんの恋を心の底から応援していた。
「さて…
海ちょんだって頑張ってるんだ!!
私も頑張らなきゃ!!!」
椿稀はそう言いながら、テーブルに向かってデザイン画のアイディアを練り始めたのだった。
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