密かな始まり

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ピンポーン… 海ちょんは、ミクニの住むアパートのチャイムを鳴らしていた。 すると「はーい」という声と共に、ぬいぐるみサイズの小さな『パンダ』がヒョッコリと顔を出した。 「海ちょんだ!! いらっしゃいませー」 パンダはそう言いながら、愛嬌ある顔で海ちょんを見上げる。 パンダは、ミクニのペットである。 こうして、ミクニの部屋を訪れた客にきちんと対応できる、おりこうさんなのだ。 海ちょんは、その場にしゃがむと パンダと同じ目線になりながらニッコリと笑みを浮かべて言う。 「こんにちは、パンダ。 ミクニくん、居るかなぁ?」 するとパンダは 「ミクニは、居ないことはないけど、いつものようにハンモックの上でゆらゆらしながら寝てる!!」 それを聞いた海ちょんは、がっくりとうなだれる。 「ああ…やっぱり。 じゃあ、ミクニくんを起こしたら悪いし… パンダが、代わりにこのマカロンをミクニくんに渡してくれないかな?」 「おう!! パンダ承知した!!」 パンダはそう言いながら海ちょんからマカロンを受け取ると、その場で美味しそうに食べ始めた。 「あの…ちょっと…パンダ。 パンダが食べちゃったら駄目じゃないの…」 海ちょんがそう言うと、パンダはピンクの肉球にマカロンを一個乗せる。 「これを、ミクニにやればいい!!!」 「えっ…すくなっ!! 一口食べたら終わりじゃん!!!」 「寝てるミクニが悪い!!! ミクニの代わりに、パンダがマカロンたくさん食べる!!!!!」 こうしてパンダは、一つのマカロン以外はあっという間にたいらげてしまった。 「ごっそさんでしたー!! パンダ、うまかった!!!!」 「……そりゃ、良かった…」
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