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最初はまた壮介が訳の分からない悪戯でも仕掛けてきたのかと思いもう一発壁に“えいっ!!”と打ちつけてやろうかと考えたが壮介の顔を見るにどうやら本気で言っているらしい。
「…壮介?」
『だから壮介って何なの?
それよりなんで僕はここにいるの?』
まさか…記憶喪失?
ちょっとどうしよう?
もう一辺壁にぶつけたら戻るかな?でももっと悪化したらどうしょうとか考えていたら壮介が肩を叩いてきた。
「ちょっと何っ!?今色々と忙しいんだけどっ!!」
私の剣幕に驚いたのか壮介は涙目になっていた。
…そういう所ヘタレな所は壮介らしいんだ。
まぁ記憶がないからって人格そのものが変わる訳じゃないのだろう。
「で?何よ。」
『あの…僕家に帰りたいんだけど。』
…コイツは一体何を言っているのだろう?
帰りたいなら勝手に帰ればいい。
「そんなこと一々報告すなーっ!!
勝手に帰れっ!!
私だってストーカーやらお前の事やらで頭パンクしそうなのっ!!」
そう言うと壮介は本格的に泣き出してしまった。
全く大学生になってまで泣くなよ…。壮介は昔っからそうだ。
悪戯好きなくせにヘタレで泣き虫で基本子どもみたいなのに、でも笑った時はめちゃくちゃ格好いいし私が困った時は全力で助けてくれる王子様みたいな人だ。
しょうがない。
今回は私が原因みたいなもんだしいつも助けてもらってるお礼に助けてあげるかな。
『ヒック…だって、勝手に帰れって言われても家わかんないし…ヒック』
…知るか。
「交番行けぇぇえ!!」
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