第一章 出逢い

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もうすでに始業時間は過ぎている!! 大遅刻決定で慌てるケンタロウの携帯が突如鳴り響く。 大好きな着うたが部屋中に鳴り響く。 『はい。地皆(じみな)です。おはようございます。』 電話の相手は同期の山下さん。彼女とは同期だがあまり話したことはない… 物静かなケンタロウと違って彼女の性格は正反対で太陽の様に明るい。 何かと世話焼きな彼女は物静かなケンタロウを気にかけ、話しかけてくれる。 っが、小学校を卒業してからと言うものまともに女性と話した記憶はケンタロウにはない。 『おはよう。ジミッチ♪今日はどうしたの?体調が悪い?』 『いや。体調は悪くないです。寝坊してしまいました。すみません。』 『そか。それなら良かった。いつも一番に出社してるジミッチを誰も見てないってことで、課長がすごく心配してたよ。事故ったんじゃないかって。じゃ、課長に只の寝坊って伝えとくね~』 『はっはい。よろしくお願いします。』 ブチっ。 (まいったなぁ~。こんなときにすごい寝癖…。どう寝たらこんなことになるんだ…?) ガチャガチャ! やっとの思いで出社の準備を終えたケンタロウはいつもの駅まで徒歩10分の道を走りだした。 (まいったなぁ~。遅刻したときってどうしたらいいんだ?はぁ~また課長に怒鳴られるんだろうなぁ…) 駅の改札を通り抜け、ホームまでの階段をかけ上がると、タイミングよく電車が到着した。 (こんな時間に電車になんて乗らないけど、空いてるんだなぁ。ろくに運動をしていないのに走ったせいでもうクタクタだ。運動でも始めるかぁ!!もうすぐ30歳だしなぁ~。はぁ~彼女ほしいなぁ…) 初めての遅刻で大慌てのはずが、自分の将来に不安を感じるケンタロウ。 こんな調子で、会社の最寄り駅に到着。 ふと我にかえったケンタロウは、電車を降りるやいなや猛ダッシュ。 駅には午後からの授業の為に大学に向かう学生がわんさか居るが、そんなことは気にしない。 何故なら彼には、真っ赤な顔で怒っている課長しか見えていない。 駅の階段の半ば頃には既にフラフラ。 目の前が真っ白に。 (やっぱり運動しなけりゃなぁ~…) しかし、ケンタロウに休んでいる暇はない。 一刻も早く会社に到着しなければと、頭の中ではそのことしか思い浮かばない。 地上に上がると太陽の光が目をくらます。
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