邂逅

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 そうでなくても、声をかけやすそうな人ならちょっと聞いてみようかな。  紅葉はゆっくりと、その人物を観察しながら近付く。  やがてその顔が見える距離になる。  紅葉の足は止まった。 「歳・・・」  その人物は土方であった。  紅葉が探し求めた。  土方は真っすぐこちらに向ってくる。  もうお互い誰かわかる距離だ。  その顔に驚きの色が浮かんでいる。  土方は紅葉の前で立ち止まった。 「紅葉? なぜここに」 「その質問は前にも聞きました」  紅葉は土方の胸に飛び込みたい衝動を必死で堪え言った。 「なぜここに?」  土方は同じ質問を繰り返した。
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