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「私がどこに居ようと自由です」
なぜか素直に会いに来た、と言えなかった。
「江戸に居ろと言ったはずだ」
「はい。言われた通り沖田さんの元へ行き、最期を看取りました」
「ではなぜそのまま江戸に居ない」
怒ってる。
でも引き下がるわけにはいかない。
「私の行き先は私が決めます。歳さんに指図される筋合いはありません」
紅葉はきっぱりと言った。
「今すぐ江戸に戻れ」
土方が語気を荒げる。
「嫌です」
「お前には俺の想いがわからぬか」
「そんなの、わかりません!」
次第に声が大きくなってゆく二人に、通行人が好奇の目を投げかける。
土方は小さく舌打ちすると、紅葉の腕を掴んだ。
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