紅梅散舞

邂逅

「幸せになれ、と言ったはずだ。俺を忘れて」

「だって・・・・・・あなたがいなくて、幸せなんてないから・・・・」

　再び紅葉の瞳から涙が溢れる。

　土方の手の力が僅かに緩む。

　紅葉はそれを感じ、顔を横に向けようとした。

　刹那、土方が紅葉を引き寄せた。

　紅葉の唇は、土方の唇で塞がれる。

　土方の熱い吐息が紅葉に流れ込む。

　それは全身を駆け巡り、紅葉は燃えるように熱くなる。

　紅葉は土方の背に手を回し、力を込める。

　土方もそれに応えるように紅葉を強く抱き締めた。

　二人の身体は溶けてひとつになる。

　魂がひとつになるというのなら、今まさにこの瞬間だ。