邂逅

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 永い口付けの後、土方は紅葉の額に自分の額をこつんとくっつけた。  そして呟く。 「お前は馬鹿だ。俺があれほどの決意で別れを告げたのに、その心を砕いた」 「ええ。私は馬鹿です。大馬鹿です」  紅葉はすうっと息を吸い込むと、続けた。 「でも、馬鹿な男には馬鹿な女が似合ってるでしょ」 「・・・・・・・・そうだな。俺も大馬鹿だ」  土方は薄っすらと笑みを浮かべると、再び紅葉に口付けた。
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