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沖田の最期を話した時は、土方も涙を堪えるように遠くを見た。
斎藤の話をすると、
「そうか、無事であったか」
と、つぶやいた。
喧嘩別れしたとは言え、やはりかつての部下の身を案じていたのであろう。
「島田が紅葉に会いたがっていた」
「そうですか。私もお会いしたいです。大坂以来ですから」
紅葉が嬉しそうに言うと、土方は少しむっとしたように言った。
「今日一緒について来ようとしたが、明日にしろと言っておいた」
「そうなんですか。明日が楽しみですね」
紅葉の鈍感さに、土方は堪りかねたように紅葉の腕をとると、その身を引き寄せる。
「歳さん?」
土方の顔が目の前だ。
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