邂逅

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 土方は紅葉に背を向けて布団にくるまっている。  紅葉は回り込んで土方の前に座る。  だが土方はくるりと向こうを向いてしまう。  もしかして図星だったのかな。  紅葉は再び反対側に回り込んだ。  やはり土方は体を反転させ、紅葉と反対の方向を向く。  紅葉は身を乗り出し、土方に覆いかぶさるようにして、反対側を向いている土方を覗き込む。  土方は布団を被って顔を隠す。  紅葉は面白くなって、布団を剥がそうと引っ張った。  しかし土方の力は強く、なかなか布団は剥がれない。  紅葉は尚も布団を引っ張っる。  そのうちに土方が勢いよく起き上がった。  そして紅葉の頭に布団被せる。 「もう!」  布団をから顔を出すと、土方は笑っていた。  まるで子供のように。 「私は歳さんしか知りませんからご安心ください。今までもこれからも」  紅葉は微笑んだ。
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